村杉温泉 環翠楼『臨泉閣-RINSENKAKU』リノベーション見学レポ!!
ー村杉温泉 環翠楼ー
有形文化財 一棟貸切 『臨泉閣-RINSENKAKU』
明治時代に建てられた「明治の間」。
2021年に有形文化財に登録されたけど、老朽化により何年も使用していない状態だったとか。
今回、明治の面影を残した一棟離れの客室『臨泉閣-RINSENKAKU』にリノベーション。
環翠楼さんのInstagramに
『明治建築に息を吹き返すことができました。』と。素敵な言葉だな。
そんな完成したばかりの『臨泉閣-RINSENKAKU』を見学してきちゃった!
住宅じゃなくたっていいじゃない!リノベーション事例!
行ってきました、五頭の麓、村杉温泉。
9月下旬、しとしと雨が降る日となりましたが、快晴とは違った風情が楽しめるのではと、ここでもワクワク。
神田陸建築設計事務所の神田さんと、笹神の長峰建築の長峰さんに贅沢にご説明いただき、堪能。
早速その様子をご紹介!
有形文化財 一棟貸切『臨泉閣-RINSENKAKU』
環翠楼 母屋の左側に『臨泉閣-RINSENKAKU』お目見え。
奥に母屋が見えます。
本館も拝見してみたいな~もう少し大人になったらかな…(30代主婦のいう大人とは何歳!?)
臨泉閣は建設当時に名付けられ、温泉を見下ろす高殿という意味があります。
その名の通り少し高台に建っており、環翠楼全体を上から見ることができます。
リノベーション前は安らぎの明治の間として使用していましたが、せっかくなのでこの名前を使うことにしました。一階が土間のカウンターキッチン、温泉、リビング・ダイニング。
二階がベッドルーム、和室となっています。
キッチンは調理器具や食器などを揃えているので簡単な調理も可能。カウンターでお酒を片手に語らったり、朝の庭を眺めながらコーヒーをたしなむのも一つの過ごし方です。温泉は天然石を敷き詰め、滝が眺められるロケーション。
チョロチョロと流れる湯口を設けず、窓を開ければ滝の流れる音だけが聞こえるようにしました。和室部分はほとんど手を加えず、明治の面影をそのままに。
(引用:環翠楼Instagram《@murasugi_kansuirou》より)
1階、土間のカウンターキッチン。
背景には絵画のような、お庭。
こちらを眺めながら、到着後に一杯。
温泉前に一杯。
お夕食前に一杯。
お夕食後に一杯。
あらあら、べろべろまっしぐらコース。
1階リビングは会議などにも使用可能。
こちらは一棟貸しなので、他の方を気にすることなく会議などもできるし、家族だけでゆっくり過ごすことができる。
設計を担当された神田さんの言葉が素敵でした。
『床の間など、デザインを加えていくらでも新しく生まれ変わらせることはできたけど、季節ごとに掛け軸を替えられたり、この床の間は生きていたので、そのまま残したんです。』
『生きていた』という表現、しっくり。
これだけ歴史ある場所、建物だから輝いていた時間もあれば、そうでなくなる時期、場所もあるんだろう。
でも環翠楼さんでは、長い歴史の中でも美しく保つことを続けてこられたんだろうな。
お宿だけの話じゃなくて、家づくりでもそうありたいと思う。
家族の大切な場所をつくる。
新築の時も、時が経っても、子供たちが小さい時も大きくなった時も、住まう人数が変わってもその時々で建物の美しさを保つことは責任だな。
美しい、と思う幅は家族ごとに違うだろうし。
保てるお家をつくることと、愛し続けられるお家を建てたいのもです。
縁側がまた素敵。
ガラス戸は一箇所に集めるようになっていたのもを、新しくレールを引きなおし、互い違いに設置。
それぞれのガラス窓についた【ねじ締り錠】が味。
間を生かして、内と外がうまく繋がる空間。日本建築ってやっぱりすごいな。
少し斜めになっているこの縁側部分、建物の中ではなく外側にあったから雨が流れるように斜めにしたつくり。
濡れ縁(外側)だったものをあえてそのまま残したんだって!
環翠楼の歴史
(引用:環翠楼HP/ご挨拶・環翠楼の歴史について より)
開湯よりおよそ700年。
江戸末期よりこの地で温泉宿を営んできました。
当初の宿名は「六蔵旅館」館主代々襲名してきた「六蔵(ろくぞう)」という名をそのまま宿名とし、
“㊅(丸六)さん”や“六蔵どん”と呼ばれ、多くの人から親しまれてきました。大正時代に入り、御歌会の点者である千葉胤明(ちばたねあき)氏が当宿を訪れた際、
宿の風情を「緑に囲まれた館」(翠に環まれた楼)と読み、
「環翠楼」と命名され今に至ることとなります。(参考:環翠楼HP/ご挨拶・環翠楼の歴史について より)
縁側の方の柱に番号が。
これはお部屋の番号なんだって。
部屋番号といっても、襖(ふすま)1枚でしか分かれていないけど…。
現在の、“日帰りや数泊で疲労回復の目的や観光旅行で温泉宿泊するかたち”ではなく、湯治宿として利用されていたころの部屋番号なんだって。
湯治(とうじ)とは、温泉地に長期間滞留して特定の疾病の温泉療養を行うこと。
長期滞在ということで、湯治宿は1泊当たりの料金が安く設定されていることが多く、部屋もしっかり仕切られているわけではなく、襖(ふすま)1枚、壁1枚だけで別のお客様と別れていたんだね。
(今だと、ネカフェみたいな感じ?例えに品がないな…)
さっきの白黒の写真も、療養しに来ている人たちなのかもね!
圧巻な空間は続く
別の場所で使われていた建具が、アップサイクル。
新しい付加価値を持たせて、新しい場所でいい味出していく。
階段部分は増築なんだそう。
外観も、歴史ある部分とちぐはぐにならないようにエイジング加工をした杉板でマッチ。
翠に環まれた楼、健在。
『臨泉閣』シンボルである紅葉(もみじ)。
今回のリノベーションで新しく加わった映えスポット。
千尋がリンにもらった大きいまんじゅう食べてそう、って思うのスミコだけ??
ハクが紙っきれに追われて突進してきそうでしょ。
2階のベッドルーム。
ぐっすり過ぎるくらい眠れそうだけど、勿体ない。
深夜2時まで堪能していたい空間。
ホテルに泊まると、遮光強いカーテンで朝になっても真っ暗なんだけど、ここは朝日と共に気持ちいい目覚めができそう。
もともと枕元の小窓?はもっと低かったんだそう。敷布団だもんね。
でも今回のリノベーション、ベッドに合わせて高く設置。
窓枠は釘など使っていなくて、組み合わせているものだからそれを一度分解して、もとより高い位置に組みなおし。
この手法があるからこそ、“移築”=別の場所で立て直す という無茶もできるってお話は面白かった!
なるほど、が溢れています。
ここの床の間も生きている。
どれだけのお客様を迎えてきたんだろうか、いろ~んな人を迎えた来たんだろうな、すごいな。
歓声をあげてしまった温泉
1階の階段手前に温泉。
設計をした神田さん曰く、
「この場所にきて、この場所を見つけて、この空間をイメージできた」
その場で10分ほどでこの温泉のスケッチを描いたんだって。
スケッチも見せていただいたんだけど、このまま!
緑の森の中、ちょうど真ん中に小さな滝が流れ、せせらぎが聞こえる。
温泉は天然石を敷き詰めて、あえて湯口は設けず、温泉下から湧くような造りに。
滝の流れる音だけが聞こえるように。。
初めて『臨泉閣』に訪れた時、神田さんはこの滝の音に気付き、「この水の音はどこから!?」と探したんだそう!
藪に隠れてしまっていた滝を見つけ出し、スケッチに。
元々この場所はお風呂だったけど、滝を眺めることはできなかったみたい。
これこそ、環翠楼さんがおっしゃる『明治建築に息を吹き返すことができました。』
地元の歴史ある場所を知らないのは勿体ない!
海外旅行も、県外旅行も行きたい。
だけど、地元新潟にもこんなに素敵な場所があって、そこには歴史があって、それを守ってきた方々がいる。
それにこの場所は、さらにその歴史がアップサイクルされて、新しい付加価値や、新しい御縁が加わり、唯一無二なお宿が存在している。
知らないのは勿体ない。
まずはもっと多くの新潟県民に知ってもらいたい。
そしてスミコも、環翠楼さんや臨泉閣を利用できる立派な大人になりたい。
(スミコのいう立派な大人の意味は、知らんけど。)
立派な大人になったら予約します。
親と子を連れて予約します
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設計 | 神田陸建築設計事務所 |
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施工 | 長峰建築 |
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※掲載している情報は公開時点の情報です。最新の情報は各メーカー公式サイトよりご確認ください。
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プロフィール
新潟スミコ
アラサー主婦。
サラリーマンパパと2児の子育て奮闘&エンジョイ中
新潟生まれ新潟育ちで趣味はマイホーム情報収集・住宅見学
産後、マイホームの夢が膨らみ住まいづくり情報収集してたら【家ヲタク】に!同じ悩みを持つ新潟県民に向けて役立つ【住まいづくり情報】を発信!