新潟の床下エアコン発起人!オーガニックスタジオ新潟の社長・相模さんに床下エアコンの仕組みと歴史を聞いてみた。
▲オーガニックスタジオ新潟「網川原まちなみモデルハウス」
ついこの前まで暖房設定にしていたエアコン。
近頃気付けばすっかり冷房にお世話になる機会が増えてきた。
エアコンのいらない時期って本当に一瞬で、ほとんど1年中お世話になってるな~
もしこの先家を建てるなら、エアコン1台で全館空調ができる「床下エアコン」にしたい!
なんて思ってはいるものの…
費用がかかりそうなイメージもあるし、本当にエアコン1台で家中快適な温度になるの?って、正直な疑問も。
こうなったら床下エアコンに詳しい住宅屋さんに直接聞いちゃおう!!
ということで、新潟市西区山田にあるオーガニックスタジオ新潟さんでお話を聞いてきました!
目次
床下エアコンの機械は、家電量販店でも買える!?
まずは床下エアコンの仕組みを設計部 一級建築士の山田さんから伺うことに。
▲設計部 一級建築士の山田 剛さん
床下エアコンの仕組みを簡単にまとめると…
床に埋め込んだエアコンから床下に向けて暖気を出し、その暖気を各部屋の床にある吹き出し口から送り込むことで、お部屋やお家全体を温める仕組み!
「暖気って勝手に上がっていくものだから、物理法則を考えても一番合理的なんですよね。一番低いところに温かい空気を送り出すことで、お部屋に暖気が勝手に上がっていく。そして階段や吹き抜けを通して2階にも暖気が上がって家全体が温まっていくわけです。」
ちなみに設置する場所はその家の1番低いところ、そしてなるべく中心付近を選ぶと家中にまんべんなく空気が行き渡りやすいんだって!
なるほど~!配置も影響してくるのかぁ。
お家の図を描きながら話してくださる山田さん。とっても分かりやすい!
そして驚いたのは、設置するエアコンは家電量販店でも売られている家庭用エアコンだってこと!!
てっきり床下専用のエアコンだと思ってた…
しかも35坪前後の家だと6畳用エアコン1台で全館空調が可能になると言うからさらに驚き。
でも…普通のエアコンで本当に大丈夫なんですか?
「機械は基本的に壊れるものっていうのが大前提。ということは更新することが前提になるし、更新には費用が伴いますよね。
何百万円もする空調設備を入れて全館空調すれば確かに快適でしょうが、10年・20年で壊れてしまった時にどうなるのか?という問題があります。
家電量販店でも買い替えられる、1台の普通のエアコンで全館空調が可能になった方が、住む人にとってはメリットになると考えているんです。」
どんな機械にも寿命がある。
それってよく考えれば当たり前のことなんだけど、案外見落としてしまいがちかも…
メンテナンスまで視野に入れたうえで、家庭用エアコンが選ばれているんですねー!
床下エアコンと切り離せない!お家の「断熱性」
それにしても床下エアコンって、聞けば聞くほど魅力的。
今すぐわが家にも欲しくなってきました!
しかし…
どんなお家でもエアコン1台で全館空調が効く、ってわけではないらしい。
むしろ何も知らないでやったら全く効かない無意味なエアコンになっちゃうんだとか。
な、なにが必要なんでしょうか…?
「高い断熱性能と気密性能が備わった住宅であることが大前提です。それがないと、エアコン1台で家中を温めるというのは無理ですね。」
確かにせっかくエアコンの暖気が家中に行き渡っても、断熱性と気密性が備わっていないとどんどん熱が逃げて行っちゃいますね。
それから、もうひとつ大事なことが!
一般的な家だと、床下の基礎部分って断熱が入っていないことが多いみたい。
床下エアコンの場合は基礎部分に暖気を送るから、床下の断熱がないと外に向けてエアコンを吹いているのと同じことになってしまう!
これだと全く機能しないどころか電気代ばかりかかってしまうという恐ろしい事態に!!
これは聞いておいて良かった~
床下エアコンを入れるなら、天井や壁はもちろん床下の基礎部分にも断熱を入れる!
床下も室内空間と一体として考えることで、このシステムが機能するんだね。
「床下エアコンを入れるには複合的な技術が必要ですね。お家の断熱性・気密性とか窓の取り方とかエアコンの設定位置とか。当然、ただ断熱してあれば良いってわけではないので、必要な断熱性能のスペックとコストを見ながら調整して設計していきます。そういった複合的な技術があって、やっと実現するんです。」
ただ機械を入れるだけじゃなくて、お家全体の性能を考えた緻密な設計によって実現されている…
これぞプロの技術ですね!
新潟における床下エアコンの歴史
ここからは、オーガニックスタジオ新潟の社長・相模さんに床下エアコンの歴史について伺いました。
相模さん、なんと新潟県で一番初めに床下エアコンを始めた方なんだとか!!
▲代表取締役 相模 稔さん
「創業前、ハウスメーカーにいた時からやっていて、当時誰もやっていなかったから「必殺技になるな」と思いました。累計で150棟以上やってるんですよ。だからお客様の家がどうなったかというのも含めて、ノウハウとして蓄積されてきています。」
新潟では相模さんが最初に始めたそうですが、その方法は広く公開してきたとのこと。
そのおかげで新潟県内にもかなり広まったそうなのですが…
せっかくの技術を公開してしまうと、競合も増えてしまうのでは?
「本来なら商品化して特許を取ることもできる可能性はあるんだけど、元々は私が考案したわけではないので。北海道の先輩たちが、20年くらい前からFFファンヒーターで同じようなことをやってたんです。それを新潟に持ってきてエアコンでやったのが私なだけで、先輩たちが昔から健闘してきた結果なんですよね。その敬意を払ってというか。工務店の仲間同士で教え合って、じわっと広がってるんです。」
独占するんじゃなくてみんなで分け合っていく。
みんなで快適な暮らしを作っていく、という姿勢がとっても素敵です!!
「空間とか使い方によって構造のスキマを上手に利用して、出来るだけ少ない台数のエアコンで全館空調をする、それが私たちの基本です。その気になればどの家も1台で賄えるけど、1台でやることが目的ではないですからね。その家に対する最適で一番快適な方法を常に考えます。」
ちなみにこちらが、オーガニックスタジオさんの事務所で実際に使われている床下エアコン。
確かに何というか、よく見るエアコンの形してる…
こういう格子状の吹き出し口が各部屋についていて、そこから床下の暖気を取り込んでいるんですね~!
床下エアコンに関する3つのウソ・ホント
相模さんと山田さんに教えていただき、床下エアコンのことが色々と分かってきました。
ここからは、床下エアコンについてネット上などでよく目にする正直なギモンにお答えいただきました♪
【その1】床下エアコンは暖房しか使えないってホント?
こちらは「△」。
本来、床下エアコンは暖房専用。
暖気は上に、冷気は下に向かう性質からすると、冷房には向いていません。
しかし最近では、1階の天井と2階の床の間にエアコンを入れる『階間エアコン』という方式が使われることもあるんだとか!
1階と2階の間の空間にエアコンの風を送り込み、そこから家全体に冷気や暖気をまわす仕組み。
冷房の時は上にファンを向けて冷気を上に噴き上げる。
すると冷気は自然に下に降りていくので1階もひんやり!
反対に、暖房の時はファンを下向きにして暖気を下に吹き降ろす。
すると暖気は自然に上に上るので2階もぽかぽか!
これはなかなか面白い仕組み!!
それぞれのお家の間取りによって計画するみたいです。
【その2】床下エアコンは後付けもできるってホント?
基本的には「×」。
新築で元から床下エアコンの設置を想定して建てるのとは違って、後付けの場合は断熱構造から考え直す必要が出てきてしまいます。
山田さんのお話にあった通り、エアコン1台で全館空調を実現するには「高い断熱性能と気密性能が備わった住宅であることが大前提」。
後から導入しようとすると、大改造が必要になってしまうんですね…
【その3】床下エアコンにすると使えない床材があるってホント?
こちらは「×」!
床下エアコンではなく床暖房の場合は、使えない床材があります。
床下エアコンは、床下の空間をあたためて、床が間接的に暖まっていくもの。
床暖房は、床面に直接ヒーターを入れて、床を直接温めようとするもの。
床の表面温度は床下エアコンだと22度くらいですが、床暖房だと25~30度くらいまで上昇。
床暖房の温度だと床板の反り返りなどが起こるため、無垢材が使えないのです。
まとめ
新潟で最初に床下エアコンを始めた社長の相模さん。
その知識や技術を独占せずに広く公開してきたことで、新潟でも広く使われるようになってきた、というお話がとても印象的でした。
そんな相模さん、個人のYoutubeチャンネル『「家づくりの知識」 オガスタ新潟の社長チャンネル』でも家づくりについて発信中!
動画の総視聴回数は40万回を超える人気ぶり!!(※20201年6月現在)
「床下エアコンについては、エコワークス株式会社 小山社長との対談動画で詳しく解説しているのでぜひ観て下さい!」
と相模さんご本人からオススメいただきました♪
とても丁寧に解説されていて、今回のお話と合わせて観たらすっごく勉強になりました。
新潟の冬の暮らしを快適に変える、床下エアコンのある暮らし。
憧れがまた一つ増えました♪
企業名 | オーガニックスタジオ新潟 株式会社 |
---|---|
住所 | 〒950-1101 新潟市西区山田3077 |
公式サイト | https://www.organic-studio.jp/ |
スミコに相談する
※掲載している情報は公開時点の情報です。最新の情報は各メーカー公式サイトよりご確認ください。
記事検索
プロフィール
新潟スミコ
アラサー主婦。
サラリーマンパパと2児の子育て奮闘&エンジョイ中
新潟生まれ新潟育ちで趣味はマイホーム情報収集・住宅見学
産後、マイホームの夢が膨らみ住まいづくり情報収集してたら【家ヲタク】に!同じ悩みを持つ新潟県民に向けて役立つ【住まいづくり情報】を発信!