地震に強い家を建てたい!耐震・制振・免震住宅の違い徹底解説!
地震大国である日本。
家を建てるにあたって、地震への備えはしておきたいもの。
全国各地で大地震が発生すると同時に、今後30年以内に南海トラフ地震が発生すると想定されるなど、地震への備えは現実的な課題。
小さめの地震を体感したり、地震速報を目にすると、不安が募るよね。
だからこそ、家づくりのタイミングで少しでも備えておきたい!
建物における地震への構造上の備えとしては、「耐震」「制振」「免震」の3種類があるって知ってた!?
この3つの言葉を知っていても、それぞれの詳しく説明できる⁉
『制振』と『制震』については後半でご説明!
この記事では『制振』に統一して説明していくね。
「知らなかった…」
という人も多いんじゃないかな?
そこで今回は、「耐震」「制振」「免震」の3つの構造上の違いや特徴、メリットやデメリットについてご紹介。
それぞれの違いを踏まえて、未来の安心を手に入れよう。
目次
教えて!耐震・制振・免震の違い
建物の地震対策として「耐震」「制振」「免震」と3種類がある。
まずはこれらの違いについて簡単に説明。
耐震構造
耐震とは、文字通り地震に耐えること。
耐震構造は筋交いや面材耐力壁と耐震金物などで補強して建物を固くすることで揺れに対抗させ倒壊を防ぐ構造。
この構造は、地震の揺れは建物にそのまま伝わる。
2階以上の階では1階に比べ、揺れは大きく激しく、室内の被害が大きくなる。
制振構造
制振とは、地震の揺れを吸収することで、建物へのダメージを減らすもの。
制振構造は、壁の中に制振装置などを取付け、地震や風により建物が揺れる時の振動エネルギーを熱エネルギーに変換し吸収することにより、建物の揺れを抑えたり損傷を小さくする構造。
制振構造は、耐震構造と免震構造の中間的な位置付けとなり、設置費用や効果などを考慮した場合現在の住宅建築では最も有効な地震対策といえる。
免震構造
免震とは、地震の揺れを受け流して建物に伝えないこと。
免震構造は、基礎と建物との間にローラーなどの免震装置を設置して、地震による揺れを建物に伝えない構造。
この方法は最大90%程度まで地震の揺れを低減することが可能になると言われ地震の揺れ対策として最善と言える構造。
しかし、設置するための諸条件やコストが高い事もあり、普及に時間がかかる事が考えられる。
(引用:暮らしの情報サイトSUMUSHIA)
つまり、耐震・制振・免震の違いはこういうこと
耐震 | 制振 | 免震 |
---|---|---|
地震の揺れに耐える | 地震の揺れを吸収する | 地震の揺れを逃して伝えない |
主要な構造体の強度(剛性)を上げることで倒壊を防ぐ。建物を固めるため建物に加わる地震力(加速度)は逆に上昇します。 | 地震力をエネルギー吸収により建物の変形を抑え、構造躯体の変形を抑制し建物の損傷を軽減する技術。 | 地盤と建物の土台の間にベアリングなどをの免震部材をいれ、地震力自体を建物に伝わらないようにする。 |
コスト低 | コスト中 | コスト高 |
効果〇 | 効果◎ | 効果◎ |
・建物の揺れ自体は抑えられない ・建物の上部ほど激しく揺れる ・建物が倒壊に耐えても、損傷する恐れがある ・繰り返しの揺れで建物の破壊が増していく恐れがある ・震災後の修繕にコストがかかる恐れがある |
・地震による建物の変形を抑えることができる ・繰り返しの揺れにも強い ・風揺れ対策などにも効果がある ・建物が揺れ続けるのを早く抑えるのにも効果がある ・長周期地震動の揺れにも効果を発揮する |
・ゆっくりと揺れるため、外壁や間仕切り壁、天井材などの脱落や破損が防げる ・縦揺れに対しては、横揺れほど効果を見込めない ・長周期地震動に共振しやすい ・軟弱地盤や液状化の恐れがある地盤には向かない ・コストが他の比べ大きくなる |
それぞれのメリットとデメリットを比較
「耐震」「制振」「免震」の構造やメカニズムについてご紹介してきたよ。
ここでは、快適で地震に強い安心できる家づくりを実現するには、どの工法にするのが良いのか、それぞれの工法のメリットとデメリットをまとめて整理してみることにする。
(1)耐震構造のメリットとデメリット
・
- 現状、日本で最も取り入れられている工法である
- 3つの工法の中では最もコストが安い(数十万円)
- 現在の建築基準法に則って建てれば追加費用なしで耐震工法の住宅を建てることできる
- 激しい地震でも建物を倒壊から守ることができる
- 台風による強風程度ではほとんど揺れを感じない
- 地下室などの設置も可能
- 地震の揺れがダイレクトに伝わるため、揺れが激しい
- 建物の上部ほど激しく揺れる
- 建物内部にある家具などの損傷は免れない
- 家具の転倒などによる二次被害のリスクがある
- 建物は頑丈だが、繰り返しの揺れや何度も地震が起きた際には倒壊の可能性も増す
- 大きな震災があった後はメンテナンス費用にコストがかかる
今から家を建てる場合は、耐震基準に従って建てるためすべての家が耐震住宅ということになる。
ただし、建築基準法は、耐震等級1という、地震対策における最低限の耐震性能を有していれば良いということになっているので各住宅会社に等級を確認しておくのがおすすめ。
もっと地震に強い家を建てたいという場合には、コストが上がるけど耐震等級2(耐震等級1の1.25倍)や耐震等級3(耐震等級1の1.5倍)の家を作ることも検討しよう。
また、耐震等級が高ければ高いほど良いというわけではないことも注意!
耐震住宅は、建物内部の損傷に注意が必要なので家具を固定するなど、家の中の防災について工夫を忘れないようにしよう。
耐震住宅についてはコチラもチェック↓
(2)制振構造のメリットとデメリット
・
- 建物の倒壊をほとんど防ぐことができる
- 耐震工法よりも建物内部の損傷を小さくすることができる
- 免震工法よりもコストが安く、工期が短い
- 繰り返しの揺れに強い
- 台風や強風の揺れにも強い
- 地震後のメンテナンスがほとんど不要
- 建物自体は地面にくっついているため、地盤が弱いと導入できない
- 免震工法よりも制約は少ないとはいえ、制震装置の設置の関係上、狭小地には不向きである
- 耐震住宅よりもコストは高くなる(50〜100万円程度)
- 耐震工法よりも建物内部のダメージは少ないが免震工法よりはダメージがあるため、家具を固定する金具をつけるなどの工夫はした方が良い
- 建物内部にいた場合、地震の揺れは直接感じる
制振構造は、地震の揺れを抑え、建物内部のダメージを防ぎつつ、コストも免震工法よりもお手頃であるため、耐震構造と免震構造のちょうど間をとった工法といえる。
また、地震があるたびにメンテナンスや検査をする必要がほとんどなく、定期的なメンテナンスといっても簡易なもので済んだり、数年おきで良かったり、耐震構造や免震構造よりも手間がかからない。
さらに、免震工法のように基礎部分に大掛かりな工事をせずに済むので、リフォーム工事で地震対策を検討されている方にもおすすめ。
(3)免震構造のメリットとデメリット
・
- 地震がきても建物がほとんど揺れない
- 地震対策においては最も優れた工法である
- 建物内部の損傷を防ぐことができる
- 家具の転倒などによる二次被害を防ぐことができる
- 地震が起きたら免震装置が建物ごと揺れるため、ビルなら1m、住宅なら50cmは空き地にしておく必要がある
- 耐震、制震工法に比べてコストが高い(300〜600万円)
- 定期的なメンテナンスが必要となる
- 免震装置の交換の際もコストが高い
- 緩やかではあるが多少の揺れを感じる場合がある
- 歴史が浅いため、技術面や耐用年数については疑問視の声もある
- 施工できる業者が限られる
- 地震には有効だが、強風や暴風による揺れには効果が少ない
- 免震装置を設置する分、一階の床が地面よりも高くなる
- 地面の上に免震装置を設置するので地下室を作ることができない
耐震は、地震が来たとき、ダイレクトに建物に揺れが伝わり、遠心力の影響で地面から遠い2階や3階は、揺れが大きく感じられてしまう。
さらに、家具にも揺れが伝わるため、家具が移動したり、棚の中のものが出てしまったりなどのリスクがある。
そのため、二次災害の恐れがある。対策ができていれば問題はないけど。
しかし、免震工法であれば、建築時に制約は多いものの、建物内部の損傷が少なく済むので、大切な家財道具を守りたい方に向いている工法。
ただし、アイソレータと呼ばれる免震装置は定期的な交換が必要。
耐用年数40年と言われていますが、歴史が浅いため、まだ実証に至っていないのが現状。
制振と制震どう違う?
制振と制震、建築業界での定義はあいまい
「制振構造」と呼ばれるものは、建物に制振ダンパー(制振装置)を配置して、揺れのエネルギーを吸収する仕組み。
しかし、マンションの広告などでは「制振」ではなく「制震」というように、漢字表記が違う場合が見られる。
「制振」と「制震」、これは同じ意味?それとも違いがあるの?
「国土交通省の『公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)』平成31年版を見ると、『制振改修工事』という項目があり、表記は『制振』で統一されている。
つまり、国では「制振」という表記を使っていることになる。
しかし、世の中では『制振』と『制震』のどちらも使用されているのが現状。
ややこしい。
ハウスメーカーやデベロッパーなど、その用語の使用者によって、どの表記を使用するのかが違う傾向にあるみたい。
では、表記は違っていても、意味は同じ?
「制振(震)構造の施工技術はさまざまで、ハウスメーカーやデベロッパーでは、『制振』と『制震』にそれぞれに意味付けをして使用しているケースがあるようです。制振と制震はどう違うのかという定義は曖昧だといえます」
(参考:SUUMO/ 基礎知識・情報・ポイント)
定義が曖昧な「制振構造」と「制震構造」。
言葉の使用者によって定義付けがされているため、意味も異なるのが現状。
揺れのエネルギーの大きさで使い分けられる傾向
制振も制震も地震エネルギーを吸収する構造または装置のことを指すが、使い方の定義は定まっていない。
しかし、言葉のもつ意味から使い分けられる傾向もあるのだとか。
『制震』という言葉は大きな自然エネルギーの制御に使われます。
一方、『制振』は小さな動きに対応する性質で、地震でいえば余震のわずかな動きにも対応し、敏感に反応することを指します。つまり、『制震構造』の場合は、ビルやマンションなど比較的大規模な構造物で、大きなエネルギーを抑えるための大規模な装置が採用されることが多いといえます。『制振構造』の場合は、小さなエネルギー(揺れ)でも影響しやすい戸建て住宅などで、揺れに反応しやすく比較的設置しやすい大きさの『制振装置』が採用されます。
住宅など小規模な建物を中心にした場合は『制振』、ビルやマンションなど大規模なスケールで大きな力を制御する場合は『制震』を用いる使い分けもあるのです
(参考:SUUMO/ 基礎知識・情報・ポイント)
ビルやマンションなどの建物の地震に備える構造や装置の用語として、「制振」と「制震」という表記が混在するなか、一定の使い分けもされているようだ。
なお、この記事では表記を「制振」に統一し解説を進めています!
「耐震」「制振」「免震」まとめ
今回は、地震への備えとして、耐震・制振・免震それぞれの特徴やメリット、デメリットについてまとめてご紹介したよ。
どの工法も地震への備えとして工夫された構造なので、地震対策としてどれを選ぶべきか、どの程度コストをかけるべきか…迷っちゃうよね。
そんな場合には、予算、住んでいる人の揺れへの感じ方、家の損傷の程度、地下室の要不要などによって、選択肢を絞っていくと、自分に合った地震に強い家になるのでは!?
また、耐震+制振、耐震+免震などそれぞれの良さをうまく組み合わせると、バランスが良くなり、より地震に強い安心できる家になる。
そして、どの工法にするかも大切だけど設計通りに不備なく施工してくれる業者を探すこともとても重要なポイント!
相性が良く、信頼できる業者に出会えるよう、しっかりリサーチしていこう。
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プロフィール
新潟スミコ
アラサー主婦。
サラリーマンパパと2児の子育て奮闘&エンジョイ中
新潟生まれ新潟育ちで趣味はマイホーム情報収集・住宅見学
産後、マイホームの夢が膨らみ住まいづくり情報収集してたら【家ヲタク】に!同じ悩みを持つ新潟県民に向けて役立つ【住まいづくり情報】を発信!