じゅうたく通信 家づくりレポート「古民家」の暮らしやすさが知りたい!古民家リノベーションの不安&疑問をプロに聞いてみた

「古民家」の暮らしやすさが知りたい!古民家リノベーションの不安&疑問をプロに聞いてみた

新潟市中央区 プロに聞いてみた住まいの話題
「古民家」の暮らしやすさが知りたい!古民家リノベーションの不安&疑問をプロに聞いてみた

最近、古民家を利用したカフェやレストランをよく見かけますよね。
昔ながらの太い柱や梁のある空間って、趣があって素敵!!

でも実際に住宅として住むことを考えると…なんだか大変なことも多そうなイメージ。
そこで今回は、古民家リノベーションのプロにインタビュー!

フクダハウジングさんの古民家におじゃまして、古民家と中古住宅の違いやお金のこと、実際に古民家をリノベーションして住んでいる方の声を聞いてみました!

フクダハウジング 株式会社 / 建築部

伊藤 葉月Hazuki Ito

リノベーション営業課の営業事務として広報業務を担当。YouTube動画の編集にも積極的に取り組んでいます。
前職は幼稚園教諭だったこともあり、子どもと遊ぶのが大好き!日頃からお客様とのコミュニケーションを大切にしています。
リフォームを通してお客様の生活がより良くなるようにお手伝いいたします!

フクダハウジング 株式会社 / 管理部

佐藤 愛Manami Sato

総務人事課で人事や広報業務を担当。広告や採用活動を通じて、会社の魅力やフクダハウジングの建物の良さを日々発信しています。
プライベートではインテリアにこだわっていて、観葉植物を大切に育てています!

そもそも「古民家」ってどんな家のこと?

――まず「古民家」ってどういうお家のことを指すんですか?

伊藤さん:目安としては建築後50年以上経過した建物のことですが、実は明確な定義はありません。
目に見える特徴で言うと、土間があったり、天井に太い梁があったり…そういう昔ながらの建築法で建てられた家のことを「古民家」と呼んでいるんです。

――昔ながらの建築法というのは、現代のお家とはどう違うんでしょうか?

伊藤さん:今の住宅と古民家の住宅では、基礎の作り方が大きく違います!
今の住宅は「在来工法」という作り方で住宅の基礎部分が作られています。鉄筋コンクリートの上に土台があって、柱をアンカーボルトで固定する方法です。

伊藤さん:一方、古民家の方は「伝統工法」で建てられています。土台にコンクリートではなく石を使っていて、その上に木を組んで柱を立てる方法ですね。
在来工法ではボルトや釘などの金属を使っていますが、伝統工法では金属を接合部に使っていないのが特徴です。
ブロックみたいに凹凸の部分をぴったりと合わせて組み上げる方法なので、現代のお家とは大きく違いますね。

――金属を使わずに建てているとは…昔の技術ってすごいですね!この「伝統工法」のお家はいつ頃まで建てられていたんでしょうか?

伊藤さん:1950年に建築基準法が制定されて、そこを基準に伝統工法から在来工法に移り変わっていったと言われてますね。ですので、築50年以上で伝統工法のお家は古民家と呼んでいいと思います。
ちなみに平成30年に新潟市が調査した記録によると、50年以上前に新潟市で建てられたお家は、在来工法のものも含めておよそ約2万5千戸と言われています。

――2万5千戸も!新潟市内って新しい住宅が多いイメージでしたが、歴史のある建物もたくさんあるんですね!!

揺れを逃がして建物を守る!古民家の「免震構造」

――古民家と呼ばれる住宅と今の住宅では、工法が違うということがよく分かりました!それ以外に何か違う点はありますか?

伊藤さん:工法にも繋がりますが、地震に対する強さが違いますね。
伝統工法(古民家)は、今の住宅のような「耐震構造」ではなく「免震的構造」で作られています。地震の揺れにグッと耐えるのではなく、あえて建物を揺らすことで、地震の強さを逃がす構造になっているんです。

――あえて揺れることでお家を守っているんですね!知りませんでした…!

伊藤さん:そうなんです!耐震の制度が年々変わっていくにつれて強度は上がっていますが、制度がしっかりと整う前に建てられた在来工法の中古住宅は、伝統工法の住宅よりも地震には弱いと思います。
阪神淡路大震災のときには、在来工法で建てられた古い住宅では倒壊が多かったものの、状態の良い伝統工法の家はそれほど倒壊しなかったというデータも残っているんですよ。

――古い建物ほど地震に弱いものかと思い込んでいましたが、構造によって強さが違うんですね。ちなみに古民家をリノベーションして住む際は、今の制度に合わせた耐震強度にしなければいけないんでしょうか?

伊藤さん:家の大きさを変えないのであれば、そのまま住むことができます。
例えば、増築で大きさを変える場合は確認申請が必要ですし、家だったものをお店に変えるなど用途変更をする場合には、現代の基準に合った耐震にしないといけません。

生活に合ったリノベ方法で負担軽減!古民家リノベの気になるお金事情

――リノベーションで気になるのが、やっぱりお値段なんですが…。古民家リノベーションっておいくら位で出来るのでしょうか?

伊藤さん:規模や程度にもよりますが、古民家全体の目安でいうと、60坪ほどのリノベでだいたい3,000万円~が相場だと思います。
金額だけ聞くと驚かれるかもしれませんが、古民家に使われているような古材って乾燥していくにつれて強度が増すんです。
ですので、一旦直すのにはお金はかかりますが、そこからまた永く住めると思います!

――すごく安心しました!新築と同じだけの金額をかけて何年くらい持つんだろう…?って不安に思う部分もあったのですが、そこからまた何十年と住めるんですね。

伊藤さん:そうなんです!古くなる=脆くなるっていうイメージを持たれるかもしれませんが、昔の材料って今よりも本当に質の良いものなので、年月が経つにつれて強くなるんですよ。
例えば大昔に建てられた木造の神社やお寺って今でも残っていると思いますが、あんなイメージですね!

――なるほど~!古い木造の神社やお寺が今も残っているのって、そういうことだったんですね!
ちなみに、リノベーションする際に一番お金がかかるのはどの部分でしょうか…?

伊藤さん:屋根と床下(基礎)部分ですね。屋根の面積によって費用は大きく変わってくると思います。
例えば二階建てのお家と平屋で比べると、平屋の方が床の面積と屋根の面積が大きい分、高くつきます。面積が大きいほど直す範囲も広くなるので金額が上がってしまうんです。
だから「減築」っていう選択肢もあるんですよ!
今と昔ではライフスタイルも違いますから、暮らしやすい間取りも違います。ですから家族構成に合うような間取りを考えながら、必要な箇所だけ残すのがおすすめですね。

――減築って、不要な部分を取り壊すんですよね?逆に費用がかかっちゃいそうですが…

佐藤さん:元のお家をそっくり全て直すよりも安く済みますね。
全てを直して住もうとするとかなりの金額がかかってしまいますが、減築することで直す範囲を減らすと、ある程度費用も抑えられますよ!

――減築って解体に近いイメージがあったので、すごく大変でお金もかかると思っていました…!そういう選択肢もあるんですね。

佐藤さん:あとは不要な場所には手を加えないで、住む場所だけ直すという選択もできます!間取りは変えずに住むところだけ直して、使わない場所は手を付けずに残しておくという方法ですね。

伊藤さん:別荘として古民家を買われる方は、そういう使い方をされることが多いです。別荘だと使う範囲も限定的で良かったりしますから、必要な部分だけ直される方もいらっしゃいますよ。

――必要な部分だけ直すことで、費用が抑えられるんですね!ちなみに、古民家のリノベーションではどんなローンを組むべきでしょうか。

伊藤さん:古民家の場合はリノベーションの相場が高くなるので、住宅ローンを組むのがおすすめです。リフォームローンは借入額が少なく返済期間も短いので向かないかなと思います。
ちなみにフクダハウジングには住宅ローンアドバイザーも在籍しているので、ローンについて分からないことがあれば何でも相談していただけますよ!

――ローン以外に使える補助金などはありますか?

伊藤さん:古民家に特化した補助金はありませんが、リノベーションに対する補助金は国にも自治体にも用意されています。
今だと「こどもみらい住宅支援事業」、新潟市には「健幸すまいリフォーム助成事業」というのがありまして、バリアフリーなど対象工事を含むリノベーションには古民家でもお得に利用できます!

――お得な補助金、ぜひ利用してみたいです!ただ、こういう事業って申請などが大変なイメージなんですが…審査などは必要なんでしょうか?

伊藤さん:審査は特にありません!対象となる機器や設備を入れて、工事の前後の写真で証明が出来ればOKです。
「健幸すまいリフォーム助成事業」は事前申請が必要ですが、過去に同補助金を受けたことがなく、定められた工事を行うことを申請すればOKです。
「こどもみらい住宅支援事業」はかなり幅広く条件が設けられていて、トイレを機能性の高いものに変えたり、お風呂に手すりをつけたり、段差をなくしたりといった対象工事があります。
あと新潟で古民家を改修される場合はインナーサッシ(※)もおすすめです!最近の住宅と比べると古民家はかなり寒いので、設置される方が多いですよ。

※インナーサッシ…元々ある窓サッシの内側(インナー)に、もう一つ窓サッシを設置して窓を二重にすること。断熱や防音に効果あり。

「趣のある建物を残したい」古民家に暮らす方の想い

――古民家リノベって最近よく耳にするなと思うのですが、人気が高まっているんでしょうか?

伊藤さん:人気が高いと大きく言えるほどではないと思いますが、確実に認知は広がっているかなと思いますね。
古民家を利用したカフェやレストランなどは、近頃いろんな場所にできていますよね。それから最近だと、古民家再生協会というところが、阿賀町にあった古民家を栃木県にそのまま移築したという取り組みもありました!
そういった活動もあり、古民家の魅力や認知は広まってきているかなと思います。

――たしかに、古民家利用の飲食店は最近よく見かけますよね。住宅として実際に古民家に住む方は、どういうきっかけでお住まいになられていますか

伊藤さん:今まで住んでいたお家をリフォームして住み続けるという方もいらっしゃいますし、外部から来て別荘として使ったり、移住先として選ばれることが多いですね。
古民家は昔ながらの良い材料を使っているので、リフォームしたいけどせっかくだから元の家の雰囲気を残したいという方が多いです。なかなかこういう材料はもう手に入らないので。

佐藤さん:年齢層でいうと、30代~40代くらいの方が多いように思います。普段は都会に住んでいるけど夏の間だけ滞在するとか、1〜2週間に1回くらい来てお休みを過ごすとか。
使うお部屋だけリノベされる方もいれば、いきなりフルリノベではなく少しずつ進めて行かれる方も多いですね。

――比較的若い方が多いんですね!新築を建てるのではなくあえて古民家を直して住まわれるのは、どんな理由なんでしょうか。

伊藤さん:ちょうど先日、もともと住んでいたお家を直された農家の方にインタビューしたんです。
その方は建て替えも選択肢にあったみたいなんですね。でもやっぱり、趣のある柱や梁の感じを残したいという想いが強くて、リノベーションに至ったみたいです。せっかくの価値のある建物を残したいという想いがあったみたいですね。

佐藤さん:リノベーションを選択される方はそういう想いの方が多いと思いますね。
もう絶対に手に入らない良い材料ばかりなので、それを全てなくして新しい家を建ててしまうのは、むしろもったいないというか。せっかく良い材料も、壊してしまうと廃材でしかなくなってしまうので。
それを上手に残しながらより快適に暮らせるようにしたいということで、リノベーションを選択されるんだと思います。

――やっぱり昔ながらの建物の価値を残したいという方が多いんですね。

伊藤さん:あとは、家族と長い時間を過ごしてきた思い出もありますからね。
去年施工したお家では、襖をそのままガラスに入れ替えて残したり、屏風(ついたて)に変えたりして残すということもしました。使えるものは思い出として残す、というリノベーションもさせていただいてますね。

――たしかに、そのお家で過ごしてきた時間が長いほど思い出が詰まっていますよね。

伊藤さん:そうですね。古材とともに思い出を受け継いでいくというところが、古民家リノベーションの一番の魅力かなと思います。
建て替えもいいですが、元のお家を受け継いでリノベーションしたお家に住むのも心の財産になるというか。前よりも自分の家のことをより好きになれると思いますよ!

思い出と価値を次の世代へ受け継ぐ

今回お話を聞いて一番驚いたのは、古民家の強度の高さ!
時間が経つほど強度が増すという木材の特徴や、伝統工法ならではの免震的構造で地震にも強い。
リノベーション後も安心して永く住むことができるというのは、嬉しい驚きでした!

今にはない建物の価値と思い出を次の世代へ受け継ぐ古民家リノベーション。
昔ながらの古民家がより快適なお家に生まれ変わり、ひとつでも多くの古民家が未来へ受け継がれていくといいなと感じました。

ちなみに今回インタビューしたのは五ケ浜にあるフクダハウジングさんの古民家
なんと海まで徒歩1分の立地!(別荘にぴったりかも)

昔ながらの囲炉裏や井戸の残る素敵な古民家でした。
気になる方はぜひ見学に行ってみてください~!

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