じゅうたく通信 家づくりレポート『長期優良住宅』ってどんな家?メリットとデメリットを知って賢く利用しよう

『長期優良住宅』ってどんな家?メリットとデメリットを知って賢く利用しよう

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『長期優良住宅』ってどんな家?メリットとデメリットを知って賢く利用しよう

住宅の建築を検討している人なら、おそらくどこかで、『長期優良住宅』という制度を耳にしたことがあるはずです。

長期優良住宅の認定を受けると、税金の優遇制度が利用できるなど、さまざまなメリットがあります。もちろん、コスト増などのデメリットもあるので、申請前にしっかりメリットとデメリットを比較検討する必要はあるでしょう。

今回の記事では長期優良住宅を検討中のかたに向けて、メリットとデメリット、申請の流れなどについて、できるだけわかりやすく解説していきます。

知っておきたい『長期優良住宅制度』のしくみ

長期優良住宅とは、長期的に高品質を維持できるように、国が定めた基準を満たした住宅のこと。認定を受けるには、以下5つの条件をすべてクリアする必要があります。

  1. 長期に使用するための構造及び設備を有していること
  2. 居住環境等への配慮を行っていること
  3. 一定面積以上の住戸面積を有していること
  4. 維持保全の期間、方法を定めていること
  5. 自然災害への配慮を行っていること

※引用元:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅とは」

長期優良住宅は、スクラップ&ビルド型の消費社会から脱却を図る目的で設立された制度です。そのため、長期的に使用できる良質な住宅を建てた人に対しては、国が金銭的に優遇してくれます。(具体的な内容については後述)

ただし具体的な認定要件は決して甘くはなく、「劣化対策」や「耐震性」など8項目に渡り、詳細に定められています。(東京都一般住宅の場合)

当然、建築コストも割高になるので、ハウスメーカーに任せきりにせず、自分でも関連情報をリサーチしておきましょう。

長期優良住宅のメリットとは?

長期優良住宅のメリットは、大きく4つあります。

  1. 各種税金の優遇制度
  2. 住宅ローン(フラット35S)の金利が通常より0.25%引き下げ※1
  3. 補助金(地域型住宅グリーン化事業:最大140万円)の支給※2
  4. 地震保険料の割引(等級に応じて最大50%割引)※3

今回はスペースの都合上、税金の優遇制度についてのみ、概要をまとめておきます。

税制 一般の住宅 長期優良住宅

  • 住宅ローン減税 控除対象限度額:3,000万円 控除対象限度額:5,000万円
  • 最大控除額:273万円(13年間) 最大控除額:455万円(13年間)
  • 登録免許税(保存登記) 税率0.15% 税率0.1%
  • 固定資産税 軽減率1/2の適用期間:3年間 軽減率1/2の適用期間:5年間
  • 不動産取得税 控除額:1,200万円 控除額:1,300万円

※令和4年7月時点のデータ

上記のなかでも、とくに影響の大きいのは、やはり「住宅ローン減税」でしょう。長期優良住宅の場合、控除の対象となる金額の上限が、一般住宅より2,000万円も多いです。その結果、13年間トータルで、182万円も多く控除を受けられます。

なお、省エネ基準をクリアーしない住宅は、令和6年(2024年)以降、住宅ローン減税が適用されません。そういう意味でも、今後、長期優良住宅の検討は必須といえます。

※1:【フラット35】S:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】
※2:地域型住宅グリーン化事業 令和3年度事業からの変更点
※3:損保ジャパン 地震保険の割引制度について

要注意!長期優良住宅は建築コストや維持費が割高になるケースも

ここまで長期優良住宅のメリットをお伝えしてきましたが、メリットがあれば当然デメリットも存在するものです。すぐに思いつくだけでも、以下のようなデメリットが考えられます。

  • 一般的な住宅よりも建築コストが割高
  • 申請の費用が必要
  • 施工期間が通常よりも長い
  • 高品質を維持するための手間と費用

長期優良住宅では、一般住宅よりも品質のよい高価な材料が必要です。さらに、高い施工基準を満たすために、工賃も割高になるのは避けられません。当然、施工に手間がかかるぶんだけ、工事期間は長くなります。

また、高品質な住宅を良好な状態に維持するため、維持保全計画の作成・定期点検・点検 / 補修記録の保管などが義務づけられています。計画どおりにメンテナンスを実施しなかった場合、最悪認定の取り消しもあるので、保全義務についてはしっかりと守らなければなりません。

上記のような、割増コストや保全の手間を負担に感じる人は、長期優良住宅の申請には慎重な検討が必要です。

まとめ

ここまでお話ししたとおり、長期優良住宅には税制の優遇や住宅ローンの金利引き下げなど、さまざまなメリットがあります。またそういったメリット以外にも、高品質な家で快適な生活を満喫できるというのも、非常に魅力的です

もちろん、コスト増や保全の手間といったデメリットもあるので、両者をしっかりと比較して、後悔のないように結論を出していただければと思います。

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